ベストセラーサスペンス「親愛なる僕へ殺意をこめて」を描いた、名コンビの新作【降り積もれ孤独な死よ】。ドラマや映画を見ているようなリアルな描写に吸い込まれそうー!絵が綺麗!
子供への虐待と暴力をテーマに展開する。大豪邸での子供の大量虐殺殺人事件をきっかけに、血で血を洗うような恐怖の物語。刑事・冴木と虐殺から生き残った花音が真犯人を追跡して行く。
親への憎しみが、殺人を生んでいくのか?血は争えない、血は嘘をつかないということなのか!…
予想だにしない展開に思わず何度も読み返してしまう、最後はどんな結末が待っているのか?
「まんが王国」レビュー11件全員5点満点の作品、絶対外さない!ぜひ読んでもらいたいおすすめマンガ!(2023年9月22日現在)
現在、6巻・第41話まで展開中。2023年9月22日 6巻・第41話まで、見どころをポイントでまとめました。「まんが王国」「シーモア」でお楽しみください!どちらも無料登録でたくさんの作品が読めますよ! 「まんが王国」10/5まで1冊無料 「シーモア」10/5まで1冊無料
【降り積もれ孤独な死よ】

- タイトル:【降り積もれ孤独な死よ】
- 作者:井龍 一(いのりゅう はじめ)
伊藤 翔太(いとう しょうた)
- 掲載雑誌:イブニング
- 発行元:講談社
- 配信開始日:2021年11月
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【おすすめポイント】
大豪邸での子供の大量虐殺殺人事件をきっかけに、血で血を洗うような恐怖の物語。親への憎しみが、殺人を生んでいくのか?血は争えない、血は嘘をつかないということなのか!…
- 冴木 仁(さえき じん)…Y県警富学山南警察署、自称エリート刑事。
- 宇垣(うがき)…河渕湖駅前交番勤務、先輩巡査。
- 鈴木 潤(すずき じゅん)…河渕湖駅前交番勤務、20歳巡査。
- 川相 誠二(かわい せいじ)…Y県警富学山南警察署警部。
- 五味 康弘(ごみ やすひろ)…Y県警富学山南警察署刑事、冴木の相棒。
- 灰川 十三(はいかわ じゅうぞう)…大豪邸の持ち主、子供大量虐殺の容疑者。
- 蓮美 花音(はすみ かのん)…灰川に育てられた子供、次女。冴木に好意的で捜査に協力する。
- 瀧本 蒼佑(たきもと そうすけ)…冴木の腹違いの弟、父親はDV。
- 東 優磨(あずま ゆうま)…灰川に育てられた子供、長男。
- 沖島 マヤ(おきしま まや)…灰川に育てられた子供、長女。
- 神代 タケル(かみしろ たける)…灰川に育てられた子供、次男。服役中。
- 川口 サトル(かわぐち さとる)…灰川に育てられた子供、三男。
- 犬山 秀二(いぬやま しゅうじ)…1976年33人村人殺し蔵土事件の犯人、自殺。灰川と接点が?
- 中岡(なかおか)…ヤクザの囚人、刑務所で灰川を殺害する。
- ひかり…蔵土村の隣町の映画館の受付嬢24歳。灰川十三と知り合い、子供の失踪事件に興味を持ち「リッカの悪魔」にたどり着く。
- 佐藤 文吾(さとう ぶんご)…十三の父を名乗るが、本当の父なのか?「リッカの悪魔」の元締めか?
1巻 灰川十三と6人の子供たち
「第1話」
2006年Y県富学山市、湖畔の丘の上の空き家になっている大豪邸で空き巣事件が発生。
通報を受けた河渕湖駅前交番の宇垣(うがき)と鈴木(すずき)が捜査している。
そこへ南署刑事・冴木 仁(さえき じん)、自称エリート刑事が急行する。家の持ち主は、灰川 十三(はいかわ じゅうぞう)、現在40代半ば。
数年前まで一人で暮らしていた思われる家には、贋作と思われる絵画と大量の造花が飾られ、たくさんの子供部屋があった。この絵画は「我が子を食らうサトゥルヌス」だと言う鈴木。なぜか?絵画に詳しかった。

贋作とは、真作(ほんもの)とは別の作者によって模写・模作され、真作(ほんもの)として流通する絵画、彫刻、書などの芸術作品や工芸品。
地下室への入り口が鎖と鍵で頑丈に封じらているのに疑問を感じた冴木、開けさせると中から子供の遺体13体が発見される。状況から、監禁され餓死したと思われる。南署刑事、川相 誠二(かわい せいじ)と五味 康弘(ごみ やすひろ)も合流する。
Y県警は、灰川十三を全国に指名手配した。
子供の死体を見て、自分が父親から虐待されていた恐ろしい記憶が蘇る冴木だった。
ニュース報道された翌日、4年前まであの屋敷に住んでいたという蓮美 花音(はすみ かのん)が警察に話をしに来た。灰川十三は私を育ててくれた父だと。…
「第2話」
話を聞く冴木の顔を真っ直ぐに見つめる花音、どうやら興味があるらしい。
母子家庭で育った蓮美花音は、育児放棄され食べ物に困っていた。12年前の雪の降る寒い日、空腹を満たそうと雪を食べていたら、目の前に黒尽くめの大きな男が現れる。
スキンヘッドにサングラス、顔の半分が瑕(きず)で覆われ、まさに「死神」の風貌だ。一枚のチョコレートを雪の上に放り投げた。貪るように食い尽くした花音だった。
食べ物をくれる死神と同じようなことが何度か続いたある日、万引きの方法を伝授された。どんどん上手くなる花音、灰川に褒められ嬉しかった。
灰川に様々な生きる術を教えてもらい、19人の子供たちを我が子のように可愛がっていたという花音。「灰川は犯人ではありません。」
6人が生き残っているということか?
「第3話」
花音が灰川の屋敷に招かれた日、すでに4人の子供達がいた。長男のノッポ、次男の神代 タケル(かみしろ たける)、長女のマヤ、末っ子のサトル。全員、虐待されたり育児放棄された子供たちである。
灰川を囲んでみんな仲良しで笑い声が絶えなかった。
ある日、飼っていたハムスターがいなくなった。風が強かったから、窓から逃げたとごまかす灰川だが。数日後床から水が溢れ、排水管を調べると、ハムスターの死体が突っ込まれたいた。子供たちの誰かがイタズラしたらしい。
4年前に撮った写真を見せる花音、灰川と19人の子供達が写っている。それ以降、灰川は人が変わったように、家族をバラバラにしていった。何のために?
「第4話」
花音の隣に写っている少年を指差す冴木、「蒼佑」だと言われる。冴木の弟・瀧本 蒼佑(たきもと そうすけ)、冴木の腹違いの弟である。
捜査対象者に身内がいることで、捜査から外された冴木だが、まず蒼佑に会いに行くことに。
規則違反になるが、告げ口しないから連れて行っと言う花音も車に同乗させる。
7年前、DV親父の葬式で会ったことを思い出す冴木。蒼佑の腕の傷を見つけ抱きしめると、「ふぜけんな!今頃、兄貴面かよ!」怒鳴り散らせる。
「第5話」
久しぶりの再会を歓迎する蒼佑、事件に驚いていた。家出した俺を匿ってくれた灰川は「犯人じゃない。絶対に!」
「これから警察が来ると思うが、俺のことは内緒にしてくれ。」捜査から外されていることを話す冴木に、7年前の暴言を泣きながら謝罪する蒼佑だった。
Y県警富学山南警察署、先輩で相棒(バディ)の五味から19人全員の身元が判明、犯行は2年かけて行われたと報告を受ける冴木。
生き残っている子供は6人。蓮美花音、瀧本蒼佑、長男・東 優磨(あずま ゆうま)、長女・沖島 マヤ(おきしま まや)、三男・川口 サトル(かわぐち さとる)、そして次男・神代 タケル。神代は詐欺などの罪で服役中。
神代を除く5人の供述では、「灰川十三は犯人ではありません!」灰川犯人説に疑問を持ち始める冴木だった。
パトロール中の宇垣と鈴木、河渕湖付近で灰川を発見。逮捕・監禁、死体遺棄容疑で逮捕状が出ていることを告げると、大人しく両手を差し出す灰川。身柄を拘束された。
2巻 6人の子供のアリバイと灰川の死
「第6話」
Y県警富学山南警察署、川相の取り調べを受ける灰川、あっさり俺がヤッたと白状する。
拍子抜けの五味、これで一件落着か?と思われたが。…事件は思わぬ方向に展開して行く。
蒼佑が事情聴取で南署にやって来た。右手に包帯を巻いている。もしかして人を殴ったのか?憶測する冴木、虐待家庭を狙った暴行事件の被害者の病院へ。息子に日頃から暴力振るっていた父親、黒尽くめの何者かにヤラれたらしい。
冴木の車にわざとハンカチを忘れていった花音、また会いたいと。冴木に恋してるようだ。
夜、駅のホーム電車を待つ花音、線路に突き落とされる。…
「第7話」
命に別状はなかったが、明らかに灰川の事件に関連している。突き落としたのは、真犯人だと推測する花音。生き残った6人の中に?冴木に私と一緒に捜査して欲しいと強く望むが、それは無理な話であった。
相談があると花音の家に呼ばれた冴木。まさかの色仕掛け、服を脱いで体でお支払いすると言われドン引きする。服を着てくれと顔を背けると、花音「服を着てするのが好みですか?」
仕方なく「あなたの捜査、手伝います!」と応える冴木。見返りがないのは可笑しいと突っ込まれ、「コーヒーを淹れてください。」取引成立だと喜ぶ花音である。
灰川が自白したと言われ驚く花音に、事件の経緯から話し始める冴木。2年もかけて用意周到に行われた殺人事件を、あっさり自白したのには、何か裏があると。灰川に協力者がいる?犯人を庇っている?生き残った6人の中に犯人がいるのでは?…
刑務所に収監された灰川、ヤクザの囚人・中岡(なかおか)にロリコン野郎と絡まれ、ペンで右目を抉り抜いた。
「第8話」
生き残った6人の中に犯人がいるのでは?と睨んだ冴木と花音。花音が突き落とされた11日の全員のアリバイを当たることにした。
長男・東優磨、25歳。幼い頃に父親が蒸発、母親は再婚するが、再婚相手の男から暴力を受け家出、1991年灰川に引き取られる。仕事をしていたが、勤務態度に問題がありクビになっていた。事件当日、無断欠勤が続いていたので、従業員が見に行くと家にいたと証言、シロである。
花音が東のアパートに行くと、散らかり放題のゴミ屋敷で暮らしている。
子供たちを殺したのは「リッカの悪魔」だと言い出す。子供を喰らう悪魔「リッカの悪魔」を今でも信じ、魔除けだとリッカのマークを押し入れに書いている。六角形で雪の結晶のようなマークだ。
「リッカの悪魔」は、子供達への戒めに灰川が教えていたのだ。4年前屋敷を出てから、妄想性障害という病気を抱えている東、精神が病んでいる。
「第9話」
長女・沖島マヤ、21歳。幼い頃に両親を亡くし叔父に引き取られるが、性的暴行を受け、8歳のとき灰川邸にたどり着く。
4年前屋敷を出てから自殺未遂を繰り返し、現在はタトゥーアーティストとして働いている。身体を傷つける自傷行為を続けるうちに、タトゥーに生きどころを見つけた。
マヤと再会した花音、事件当日は飲みに行っていたことを確認した。「リッカの悪魔」について聞くと知らないと言ったが、マヤの背中にはリッカのマークが刻まれていた。
三男・川口サトル、幼い頃に吃音症を発症、病気のことで母親から虐待行為を受けていた。4年前屋敷を出てから、弁護士を目指し法科大学院で勉強している。吃音症は克服したと花音に強がるが、薬を飲み続けていた。事件当日は、学校の図書館で勉強していたことがタイムカードから確認されている。
「第10話」
残ったのは蒼佑ひとり。アパートを尋ねた冴木、義母が顔を出す。蒼佑は大学に行ったと言われる。事件当日のことを聞くと、家にいたと思うと応える義母、本人はパートに出ていた。
洗面所の鏡が殴られて割れているのを見た冴木、右手に包帯を巻いていた蒼佑を思い出す。
父親と背中が同じだと言われた冴木、暴力の血筋を受け継いでいる兄弟だと自覚している。義母の腕の傷を見て、蒼佑も父親と同じように暴力を振るっていることに絶望する。
蒼佑のアリバイが掴めず焦る冴木、先輩の五味と車で蒼佑の家の近くへ。五味から虐待家庭を狙った暴行事件の犯人は、蒼佑じゃないか?と、鎌を掛けられるが。…
急転する五味「犯人はお前なんだろ、冴木」。
「第11話」
驚く冴木に、一連の暴行事件で防犯カメラに映る黒尽くめの男の写真を見せる。「お前と、立ち姿が似ているな~」
お前ら兄弟は、父親から虐待されていた。だから虐待を憎んでいる。警察の犯人像にも一致している。冴木を逮捕しようというのか?
そして、「保護された子供は10歳で体重20Kgしかなく、殺されたいたかもしれない。」「俺はそんなことをする父親を許さない!」激怒する五味。
「それでもお前のヤッたことは間違っている!」「今回までは見逃してやる、俺は相棒だからな。」粋な計らいをする五味、車を降りてその場を去る。
車中、頭を抱える冴木。花音の家に向かう。
自分の生い立ちを話し出す。14のとき母方の祖父に引き取られた。父親の暴力から逃れるために。しかし血筋は争えず、喧嘩に明け暮れた。高校で恩師・増井先生に出会い、警察官を目指すことになる。
警察官になってから刑事課に配属された。子供を虐待して逮捕された父親は、再犯を繰り返すことを何度も目にして来た冴木。自らが父親に制裁を加えて、病院送りにして来たと。
俺たち兄弟は、暴力を否定しながら暴力に魅了されていると嘆く冴木。事件当日、蒼佑のアリバイがないことを伝える。
蒼佑を尾行していた花音、DV加害者のための支援センターに通っていることを突き止める。事件当日も来ていたことがわかった。
これで全員のアリバイが成立、生き残った6人の中に犯人はいなかった。これで事件は振り出しに戻る。
刑務所で灰川が殺された。弁護士との面接で刑務官が目を話した隙きに。ヤッたのは目を刳り抜かれたヤクザの囚人・中岡(なかおか)が、喉元を掻っ切った。誰かが手引したらしい。
3巻 灰川の生い立ち
「第12話」
灰川が殺されたことで、事件の解明は困難になった。生き残った6人は悲しみに暮れている。
しかし花音だけは、実感が湧かないと涙ひとつみせない。自分で冷血女だと言う。灰川は、真犯人を庇うためにわざと殺されたのでは?と推測している。
警察は灰川の過去から調べようとしたしたが、戸籍はデタラメ、名前も偽名だと。…
灰川の生まれ故郷の話を聞いたことを思い出した花音。
山奥の雪深い所で、山が頭から血を被ったかのように真っ赤に染め上がる様から「血染峰(ちぞめみね)」と呼ばれていると。…呼称らしい。
「第13話」
灰川を殺した中岡を取り調べる冴木。傷害事件を起こし組からも破門されている男が、目玉一個ぐらいで殺人を犯すのは可笑しいと睨む。
この男は一生刑務所暮らし、家族も露頭に迷うはずと思って、中岡の家族を調べてみたら。母親と娘が海外に留学することを掴んだ。
中岡は灰川を殺す見返りに金をもらっていたのだ。金の出所を調べれば、殺害を指示した人物にたどり着けるはずだ。
「血染峰(ちぞめみね)」を調べている花音。ネットでは見つからず、他の兄弟に聞いてみるが手がかりは一切ない。
そこで知り合いのツテを頼って、国立国会図書館の蔵書検索で調べるとヒット!蔵土事件報告書。
「蔵土(くらつち)事件」
1976年1月13日午前4時20分頃、北海道蔵土村。犬山 秀二(いぬやま しゅうじ)が、村人33名を射殺または斬り殺した。犬山は、同日午前8時半頃、血染峰(ちぞめみね)で頭を猟銃で撃ち抜き自殺した。
休暇を取ることにした冴木、花音と二人で北海道に飛んだ。レンタカーを借り蔵土村へ向かう。
「第14話」
犬山が石に刻んだ辞世の句(死を見据えてこの世に書き残す生涯最後の句)を思い出す冴木。
降リ積モレ孤独ナ死ヨ
灰ノ雪ノミゾ知ル
六ツノ花咲ク場所ヲ
「蔵土事件報告書」を見ながら。犬山の死体の周りに何か描かれている。「六ツノ花」はリッカの悪魔、リッカのマークでは?相槌を打つ花音である。
蔵土村があった青葉市に辿り着いた二人、かろじて一部屋だけの民宿を見つけた。老婆一人でやっている。そして、村人に「血染峰」を案内してもらうことに。
犬山が刻んだ辞世の句の石の前、灰川の写真を見せ記憶にないか尋ねると。顔の瑕(きず)を指摘する村人、蔵土には顔に瑕のある男が二人いた。一人は犬山秀二、顔の瑕が原因で村八分にされていた。唯一接点のある男がいたようだと。灰川なのか?
夕食時、リッカのことを話している花音。老婆から、この辺は行方不明者が多かったことから、子供を攫い(さらい)に来る「リッカの悪魔」がいるという言い伝えがあると教えられる。
「第15話」
布団を引き離して寝る二人、なかなか寝付けない。寒いと冴木の布団に入って行く花音、「私の体、ちゃんと温かいですか?」と聞いてくる。自分で冷血女だと言ったことを気にしていたのだ。
翌日、蔵土跡へ。家は崩れ落ち廃墟になっている。事件後、ツギハギ顔の男が目撃され犬山秀二は生きているという都市伝説を聞かされる。
犬山の生家へ行くと、床下からたくさんの有名な絵画が出て来る。当時の警察が見落としていたのだ。贋作らしいが、すべて犬山が描いたのか?
灰川の屋敷に飾られていた絵画を思い出した二人。「我が子を食らうサトゥルヌス」が飾られていたと言う冴木に、あそこにはフェルメール「真珠の耳飾りの少女」が飾られていたと言う花音。4年前空き家になってから、誰かがすり替えたのか?
「第16話」
フェルメール「真珠の耳飾りの少女」は、灰川が大切にしていた絵画だと言う花音。業者から売ってくれと言われても絶対に売らなかった絵画だと。
夕食時、ゴーグルで顔を隠し防寒着のフードを被り斧を持った男が突入して来た。老婆の首を撥ねて。
花音を素早く庇う冴木、カセットコンロを男に投げつけ押し倒す。顔面を殴ろうとして、暴力へのトラウマが頭を過り一瞬躊躇した。次の瞬間、顔面にパンチを喰らい、投げ飛ばされた。まったく逃げようとしない花音、カバンから何かを探している。逃げろと叫ぶ冴木、花音に向かう男。
「第17話」
花音、落ちているガスボンベにナイフを突き刺し、マッチで火を点け男に投げつけた。燃え上がる男、寝転がって火を消し外へ逃げ出す。灰川に教えられた喧嘩殺法らしい。
「正当防衛ですね。」と微笑む花音、男を追いかける。花音の度胸と戦い方に度肝を抜かれた冴木、急いで追いかける。
外は雪、小さな山小屋で落ち合った二人。昨晩、なぜ抱いてくれなかったのか?問われる冴木。
「父親の暴力という忌々しい血を引き継いでいることに苦悩している。だから自分の子供は残したくないと思っている。」虐待の連鎖を恐れているのだ。それでも諦めないと力強く誓う花音である。
木の影から、花音目掛けて散弾銃が発射された。庇った冴木に命中、花音の腕もかすった。隠れる花音、冴木にとどめを刺すため近寄る男。罠にハマった、銃口を近づけると銃を取られ、突き付けられた。
「殺人罪に傷害罪、銃刀法違反…現行犯逮捕だ!」ゴーグルとマスクを取らされた男、ツギハギ顔の男だ。…
4巻 ツギハギ顔の男の復讐
「第18話」
男に銃を突きつける冴木「おいお前は何者だ?灰川邸の子供を殺した犯人か?」。
そのとき突風が、吹雪で視界を断たれた。暗闇の中を足早に逃げる男、冴木が追おうとするが。…花音が倒れた。
すぐ病院へ、花音は2日間目覚めなかったが命に別状はなかった。また冴木と会えたことを喜ぶ。
仮説を立てる冴木。灰川は誰かを守ろうとしてわざと殺されたのでは?罪を一人で背負うために。その人物が親友の息子だったら。犬山秀二の息子だったら。顔の瑕は先天性のモノ、遺伝したのだろうと。…
「第19話」
ツギハギ顔の男が息子だったとしても、灰川と犬山の間にはいったい何があったのか?まだ謎が多すぎると言う花音。
そこへ灰川殺しを洗っていた五味がやって来た。二人がツギハギ顔の男に襲われた事件と灰川殺しが繋がったと、道警からの要請である。
灰川殺しの中岡の家族の面倒を見ているのが、伊良部組の組長・榊。中川は破門になっているし、榊と灰川の接点はない。灰川殺しを榊に持ちかけた人物が別にいた。
榊は口を割らないが、灰川殺しの現場にいた刑務官が口を割った。ツギハギ顔の男に脅され、手引したと。ツギハギ顔の男が灰川殺しの依頼人だ。
「第20話」
Y県警富学山南警察署、犬山の生家の床下から出て来た絵画を美術鑑定士の女・宮崎に鑑定してもらう。
やはりすべて贋作だったが。…天才贋作家「四葉 不詳(よつば ふしょう)」の作品だとわかる。
1975年「四葉事件」大手百貨店・四葉デパートが大量の贋作を販売、経営難に陥る。四葉デパートに真作として販売していた画廊の店主は、事件前に行方不明になり殺害されたとされるが、死体は見つからず、従業員のSが逮捕された。
彼の作品は精巧すぎる偽物として評価され、高値で取引されていた。正体不明の贋作家なので「四葉不詳」と呼ばれている。
「四葉事件」は「蔵土事件」の一年前の事件である。「四葉不詳」はどうやら犬山秀二のようだ。
「我が子を食らうサトゥルヌス」について尋ねる冴木。「これは駄作だがゴヤの作品は珍しい。2・3年前、ゴヤの贋作を扱った詐欺グループが逮捕された。…」
詐欺事件の資料を見る冴木、「神代タケル」の写真に驚く、生き残った6人の中の1人の名が。
「真珠の耳飾りの少女」から「我が子を食らうサトゥルヌス」灰川の屋敷の絵画を入れ替えたのは神代か?
「第21話」
服役中の「神代タケル」のところへ面会に行く花音。
兄さんと声をかけると、いつまで家族ごっこやってると叱責する神代。殺された灰川は、自分自身を嘘で塗り固めて偽物の家族を楽しんでいた。だから、俺も殺したかったと。
花音が来る前に、冴木と五味が絵画のことを調べに来ていた。掛け変えたことを否定、「我が子を食らうサトゥルヌス」を描いたのはツギハギ顔の男だと教える。だから駄作だったのだ。
花音が帰ろうとすると、俺たちは贋作(まがいもの)ではない、真作(ほんもの)だと。ツギハギ顔の男は「灰川十三の本当の息子だ」と告げた。本当なのか?
「第22話」
ツギハギ顔の男の復讐は終わっていないと言われたことを思い出す花音。生き残った6人が狙われているのだ。
自分の父・瀧本 真和(たきもと まさかず)の生家について聞き歩いていた蒼佑。真和の父(祖父)は大工の棟梁で、誰に対しても鉄拳制裁が日常。蒼佑の父・真和もやはり暴力を受けて育っていたのだ。
兄に教えようと電話を掛けると留守電。そのとき背後から、何者かに拉致される。
蒼佑が最初の標的にされた。
「第23話」
1986年、児童養護施設の前に置き去りにされた赤ん坊、籠に「JUNE」の名札が付いている。
ジュンと名付けられた。絵を描くのが上手な子である。誕生日には必ずサツキの花が届けられるが、父も母も一度も会いに来てはいない。
10歳になる誕生日の零時過ぎ、ヘルメットを被った男が入り口の門のところに花を置いて行く。「お父さんだよね?」と追いかけるジュン。…
「第24話」
男は何も言わず、バイクにまたがり立ち去った。自分と同じ目をしていたこと気付いたジュン、似顔絵を描いて街中を探し回る。目つきが悪く顔にキズと書き足して。
バイク店を尋ねると、「灰川さんかも?」家を教えてもらったジュン。屋敷では父・灰川十三の誕生会が行われていた、6人の子供達に囲まれて。この様子を目の当たりにしたジュン、ショックを受ける。
「第25話」
犬山の絵画の鑑定依頼をした宮崎から電話。駄作と評された「我が子を食らうサトゥルヌス」の処分を頼まれた画商がわかったと。
さっそく向かう冴木と五味、ツギハギ顔の男のモンタージュを見せる。違う、20代の青年だと言う。次に、生き残った6人の写真を見せるが違う。あきらめの気持ちが強くなる二人。
開かれたままの事件の捜査資料のファイルを眺めている画商、「この人です。」
灰川邸、空き巣事件で絵画の前に写る一枚の写真、交番の巡査・鈴木 潤(すずき じゅん)だ!
5巻 鈴木潤は灰川の子供
「第26話」
1996年灰川邸、ジュンは「お前の父親ではない」と拒絶される。希望から絶望へ、次第に気持ちが荒んでいくジュンだった。
施設で「DNA鑑定」で親子かどうか判定できると教わったジュン。将来「お巡りさんになったら出来るよ」と言われる。
巡回を終えて交番に戻ると、冴木と五味が待っていた。南署で任意に事情聴取することになる。「我が子を食らうサトゥルヌス」の件を突っ込まれるが、知らないと逃げる。
「第27話」
鈴木潤は灰川の子供だと睨んだ冴木たち。DNA鑑定するためお茶を出すが見事に、見破られた。任意だからとほくそ笑む鈴木、職務に戻る。
翌日、鈴木が飲んでいたペットボトルだと交番の宇垣が南署へ。川相の指示で科捜研へまわす。
花音を心配している冴木に、義母から蒼佑が帰ってこない、連絡も取れないと。…
「第28話」
南署、川相から陣頭指揮を命じられた冴木。DNA鑑定は親子、令状が出て鈴木の逮捕に向かうが、まんまと逃げられた。
2年前の2004年、屋敷に誰もいないことを知っている鈴木、忍び込んでシェーバーから灰川のヒゲを収集、DNA鑑定へ出す。親子という結果にヘドを吐く。
「第29話」
冴木のことを心配している花音に、警察から電話が。冴木かと期待したら、Y県警鑑識課から。
灰川十三の遺体を預かっていた安置所で火事があり、遺体が焼けてしまったため荼毘に付したという連絡だった。ツギハギ顔の男の放火を疑うが?…
死んだら灰にしてこの屋敷に撒いてくれと言われていた灰川の言葉に従う4人(神代は刑務所、蒼佑は拉致された)だった。涙が溢れる花音、マヤに珍しいとからかわれる。
「第30話」
庭でサツキの花を見つけた花音、冬なのに咲いている可笑しい。その花は造花で花びらが6枚ある。サツキの花びらは5枚だ。
六花(リッカ)だ!意図的に植えられたのでは?庭中を探す花音、6ヶ所で発見、線で繋ぐとリッカのマーク(六角形で雪の結晶のようなマーク)に。
中心部に何かあるのではと思い、掘り返すと鍵の掛かったカバンを発見する。3桁の番号のダイヤル錠、思いつく数字はあったが、強引に工具で鍵を破壊した。
中には、大学ノートに記された灰川の日記が。1977年からある、蔵土事件の翌年からだ。
書かれている内容に驚く花音。これが真実なら、これまで調べて来た事実が、すべてひっくり返ってしまう!!!…
「第31話」
鈴木に逃げられた経緯を説明する五味、陣頭指揮を命じられた冴木に。すべて包囲したのに、どのカメラにも映っていなかったと。クリスマスが近いこともあって、恐らく出入りしているデリバリーのサンタに変身して脱出したと思われる。
ショックを受けた冴木、蒼佑の命を心配する。
「第32話」
2005年巡回中の鈴木、灰川邸から追い出された女の子・依央菜を見つける。灰川に嫌われたと気にしている依央菜を、大丈夫だと屋敷に連れて行き、地下室に連れて行き閉じ込めた。そして合計13人の子供を虐待して餓死させた。
餓死させた状況を話す鈴木。柱にロープで縛られた蒼佑から、父さん(炭川)はお前を守ろうとしたと言うと殴ぐられた。
「第33話」
父さんはお前を愛していたと言われ、さらに逆上する鈴木。蒼佑の脳裏には、優しい兄・冴木の顔が浮かぶ。
蒼佑から自首を迫られたところに、ツギハギ顔の男が、拳銃を持って現れた。
狙いはどっちなのか?蒼佑か鈴木か?同時に冴木らも突入する。…
第二部「リッカ 呪われた”血”族編」スタート!
6巻 灰川十三と犬山秀二の少年時代
「第34話」
ツギハギ顔の男は蒼佑を撃った!即死だ。駆けつける冴木たち、間に合わなかった。途方に暮れる冴木、辞表を置いて警察を去る。蒼佑の敵を討つために。
警察の川相と五味、鈴木が残したビデオカメラの映像を検証している。鈴木は蒼佑を拉致してから、ビデオカメラで記録していたのだ。
映像から鈴木とツギハギ顔の男は初対面、鈴木を探していたらしい。男が囁く「ようやく見つけたぞ、”六つの花”」、そして鈴木を連れ去った。
これから、六花(リッカ)の秘密が明らかになって行く。…
「第35話」
夜、一人車の中で蒼佑からの留守録を聞く冴木。「暴力の連鎖を終わらせたい。…兄さんと二人で…」大声で泣き叫ぶ冴木。異母兄弟だった冴木と蒼佑は父・真和のDVに苦しんだ、その父も父親から暴力を受けていたのだ。
翌日、湖の階段にぽつんと座っている冴木。そこへ、冴木に電話しながら歩く花音。何度電話しても出ない冴木を心配して探していたのだ。プーっと膨れて笑顔になる花音、隣に座り冴木の手を握りしめる。
1977年から書かれている「灰川の日記」について話し始める花音。無精子症だと診断されたと。…鈴木は灰川の子供ではないのだ。DNA鑑定は何だったのか?
すべての悪意は、遠い昔に起きたある悲劇から、連鎖して来たと。大学ノートに書き続けられて来た日記を冴木に渡す花音。「私達で終わらせる!」と。
「第36話」
「蔵土(くらつち)事件」の犯人・犬山秀二と灰川十三の関係。
「蔵土事件の1年前の1975年」
北海道蔵土村の隣町・青葉町の映画館スピカ座受付嬢・ひかりの所へ警察官の祖父がやって来た。誘拐事件があったので、帰りが遅くなると。
夜遅く帰った祖父、昔から言い伝えられている子供をさらう「リッカの悪魔」の話をする。真剣に聞くひかり、好奇心旺盛な女性である。
誰もいない映画館、ひかりが暇そうにしていると10代の灰川十三がやって来た。顔の半分が瑕(きず)で覆われ、帽子を深く被っていた。見慣れぬ顔だと声をかけるが無視される。
「第37話」
失跡したのは、クルミちゃん4歳。夕方に目撃証言はあるが見つからない。神隠しにあったかのように。
祖父に教えられた「リッカの悪魔」の話が気になったひかり、子供の失踪事件について調べ出す。ここ20年で10件以上、こんな田舎で異常な件数である。新聞の目撃証言に「顔に瑕のある男…」、灰川十三のことを思い出す。
灰川が再び映画館にやって来た。帰り尾行するひかり、ドンドン山道に入って行く。不安になると、あっさり捕まり、二度と尾けるなとナイフで脅される。
迷子になりそうになり山を下って行くと、たくさんの子供の地蔵の墓が目に入る。一体の大きな地蔵の顔は、キズつけられていた。
「第38話」
家に帰り祖父から水子地蔵だと教えられたひかり。祖父の娘、ひかりの母の仏壇に目をやる。
灰川十三のことと地蔵のキズが忘れられないでいると、灰川がまたやって来た。映画好きらしい。「観たい映画ある?」と声をかけるひかり、「フランケンシュタインの花嫁」と応える灰川。
偽善者が生き残って、怪物が死ぬ結末がつまらいと意見するひかり。帰り道、本物の怪物を見たことがないから言えるんだと呟く灰川である。
顔に瑕のある男を本格的に探し始めたひかり、蔵土村にたどり着く。この男について聞いて回ると「知らない」の一辺倒、触れたくないらしい。が、一人の男が教えてくれた。あの真っ赤な山の麓にいると。「血染峰(ちぞめみね)」と呼ばれる、灰川の生まれ故郷である。
「第39話」
蔵土村から山の麓に着いたひかり、吊るされている六角形模様の飾りが目に入る。
すると、着物を着た屈強な紳士から声をかけられる。「道にお迷いですか?」隠さずに「顔に瑕のある男を探している」と応えるひかり。佐藤 文吾(さとう ぶんご)、十三の父だと名乗る。息子の友達かと驚く文吾、歓迎すると。
文吾から十三は「血染峰(ちぞめみね)」にいると教えられたひかり。登って行くと洞窟を発見、入ると血が付いた子供のぬいぐるみが落ちている。怖くなると…
「第40話」
背後から声をかけられる「どちら様ですか?…」。顔に瑕がある、かなり醜くツギハギ顔の男だ。ぬいぐるみを取り上げると、十三が「秀二!今すぐ帰れ!」。犬山秀二と灰川十三は知り合いだった。
この光景を離れて眺めている文吾。秀二を小屋へ連れて行くように十三に命令する。秀二の顔の瑕と地蔵の顔のキズが重なったひかり、誘拐犯は秀二か?推測する。
文吾、これから祭礼があるとひかりを招待する。
文吾の家に飾ってある、真っ赤なサツキの花の絵が気になったひかり。絵の前で花びらを数えると六枚、おかしいと連想していくと「六花(リッカ)」だと気づく。
子供をさらう「リッカの悪魔」は、この集落に実存すると!伝説ではない!
「第41話」
祭礼の準備が出来たと文吾に言われ、神社に集まる集落の人達。かなり大勢いる。
子宝祈願・子孫繁栄を願い行われ、牛を生贄に、牛の睾丸を食するのだという。六角形に囲んだテーブルで食事する家族たち、たくさんの子供もいる。
子供に対する執着心を感じ取ったひかり。行方不明になった子供たちの新聞記事を思い出し、子供たちの顔を見る。みんな行方不明になった子供たちの成長した姿であった。…
「リッカの悪魔」の存在を知ってしまったひかり、集落を無事でることは出来るのか?…
蒼佑を殺したツギハギ顔の男は、誰なのか?犬山秀二は生きているのか?犬山秀二の息子なのか?…

- タイトル:【降り積もれ孤独な死よ】
- 作者:井龍 一(いのりゅう はじめ)
伊藤 翔太(いとう しょうた)
- 掲載雑誌:イブニング
- 発行元:講談社
- 配信開始日:2021年11月
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【おすすめポイント】
大豪邸での子供の大量虐殺殺人事件をきっかけに、血で血を洗うような恐怖の物語。親への憎しみが、殺人を生んでいくのか?血は争えない、血は嘘をつかないということなのか!…